MIXI、アスリートの競技力向上に活用できる自動追尾カメラシステムを開発 フィギュアスケート選手のトレーニング拠点で運用開始
~関空アイスアリーナにて位置情報測位とAI画像解析を用いた本システムを構築。特定の選手を正確に撮影可能~
株式会社MIXI(東京都渋谷区、代表取締役社長 上級執行役員 CEO:木村 弘毅)は、アスリートの競技力向上に活用できる位置情報測位とAI画像解析技術を用いた自動追尾カメラシステムを開発しました。
本システムは、フィギュアスケート競技のナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点である関空アイスアリーナ内に構築した屋内位置測位システム(IPS)と、リアルタイムに撮影した映像から選手の滑走位置をAI予測・自動追尾し撮影する技術により構成されています。2024年2月から、フィギュアスケートの競技力向上を目的に、強化選手がトレーニングでの活用を開始しました。
■ 関空アイスアリーナ内に構築した自動追尾カメラシステムについて
当社はこれまでに、ローカル5Gの無線局免許取得による商用利用や、AIを活用した公営競技のレース映像配信における自動編集化など、映像伝送や編集に関する技術開発に注力してまいりました。近年では、屋内位置測位システム(IPS)を活用した技術開発にも取り組んでおり、公営競技におけるレース映像に導入し、臨場感のある観戦体験を提供してきました。位置情報を活用した技術は、多くのスポーツ競技に応用が可能です。
今回、その新たな取り組みとして、関空アイスアリーナ内に屋内位置測位システム(IPS)を構築し、同環境を利用した自動追尾カメラシステムを開発しました。本システムは、アリーナ内にロケータ(位置情報アンテナ)を16台設置し、位置情報タグをつけた選手の位置情報を測位。加えて、PTZ(パンチルトズーム)カメラで滑走中の選手を追尾撮影するとともに、リアルタイムで映像をAIで画像解析し、選手の次の動きを予測します。位置情報とAI画像解析を用いることで、正確な自動映像撮影を実現しました。選手の軽快で複雑な動きを検知することができ、かつスケートリンク上に複数の選手が滑走していても、特定の選手を自動的に追尾撮影することが可能です。
これにより、関空アイスアリーナでトレーニングを行うフィギュアスケートの強化選手は自身の滑走や演技などを確認することが容易になりました。映像には選手の位置情報や移動軌跡、スピードの情報が表示されるため、選手は復習に役立てることができます。
なお、今回構築した屋内位置測位システム(IPS)は、同じく関空アイスアリーナ内に導入されているQoncept社製の追尾カメラシステムにも採用されています。
▼自動追尾カメラシステムを活用したトレーニング映像
https://www.youtube.com/watch?v=HsEoUsvMNv8
▼本システムに関する選手コメント(強化選手 垣内 珀琉)
演技の様子を自分たちで撮影することも可能ですが、それと比較しても本システムは追尾精度が高く、画質も非常に良いです。選手をズームし、かつ真上からの俯瞰撮影がされていることから、より自身の演技を確認しやすくなっているのも良いポイントです。また、このシステムは移動軌跡を確認できるため、スケートリンク全体をどの程度使えているかがすぐに分かります。滑走時のスピードも数値で確認できるため、特に演技後半でスピードが不足していないかなどの把握にも活用できます。録画動画をすぐに見返したり動画を持ち帰ったりして復習し、自身の演技に反映しています。
なお、3/18(月)・19(火)開催のエンジニア・デザイナー向けカンファレンス「MIXI TECH DESIGN CONFERENCE 2024」のDay1にて、本技術に関する講演を予定しています。講演はオンライン配信にてどなたでもご視聴いただけます。また、会場では本システムのデモンストレーションを展示します。
・フィギュアスケートにおける自動追尾カメラ開発 – 位置情報+AI画像解析
https://techcon.mixi.co.jp/2024/d1-3.html
■ 今後の展開について
本システムはフィギュアスケートの競技力向上に向けた取り組みの一環として導入されました。現在は主に練習後の復習で活用されていますが、今後はシステムそのものをアップデートすることで、位置情報やその他センサーから計測可能なデータを用いて、さらなる選手の競技力向上につながる情報を提供することも可能であると考えています。また、遠隔によるリモート指導においても、本システムを活用することで指導力向上につなげられることに期待しています。
そして、複数選手の中から特定選手の動きを検知し、かつ早い動きにも対応できる本システムは、フィギュアスケートに限らず、そのほかのスポーツ競技や興行イベントなどにおいても応用できると考えています。今後さまざまな用途で展開することで、各スポーツの競技力向上および視聴体験の発展に貢献してまいります。
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