サステナビリティ SUSTAINABILITY

AIを活用した「モンスターストライク」の新たなエンターテインメント体験

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株式会社MIXIでは、「モンスターストライク」(以下、モンスト)において長年のサービス運営を通じて蓄積してきたキャラクターやゲームに関するデータとAI技術を組み合わせ、新たなエンターテインメント体験の創出に取り組んでいます。
開発本部たんぽぽ室AIモデリンググループでは、AI・機械学習に関する専門性を活かし、各事業と連携しながら技術の検証・導入を進めています。その取り組みの一環として、モンストでは、生成AIを活用したゲーム内コンテンツ「クイズDEストライク」や、オフラインイベント「DREAMDAZE Ⅳ」における体験型コンテンツ「AIボール絵メーカー」の開発を行いました。

大量のキャラクターデータからヒントを自動生成する「クイズDEストライク」

「クイズDEストライク」は、複数のヒントをもとにモンストのキャラクターを当てるゲーム内コンテンツです。プレイヤーは難易度の異なるヒントを少しずつ確認しながら、できるだけ少ないヒントで正解となるキャラクターを推測します。

多様なキャラクターデータを統合したヒント生成

モンストには多数のキャラクターが存在するため、それぞれについて多様なヒントを人手で作成するには多くの工数を必要とします。そこで、公式のキャラクター設定やゲーム内の性能情報、キャラクターイラストなどをもとに、LLM※1を活用してヒントを自動生成する仕組みを構築しました。キャラクターの「スペック」「プロフィール」「外見」という異なる観点からヒントを生成し、それぞれに難易度を設定しています。キャラクターの性能や設定だけでなく、イラストについてもAIで外見情報をテキスト化することで、画像に含まれる特徴もヒント生成に活用しています。

※1 膨大なテキストデータを学習し、人間のように自然な言葉を生成するAIの基盤技術

キャラクター同士の比較を踏まえたヒント生成

単一のキャラクターの情報だけをLLMへ与えると、他のキャラクターにも広く当てはまるヒントが生成されやすくなります。対象となるキャラクターだけでなく、他のキャラクターの情報もLLMへ与えることで、キャラクター間の違いを踏まえた、よりそのキャラクターらしいヒントを生成できるようにしています。
また、ヒントごとにキャラクターを特定しやすい度合いを推定し、難易度の異なる問題を組み合わせることで、ゲームとして段階的にヒントを開示できるよう設計しています。


来場者自身がモンストのキャラクターになる「AIボール絵メーカー」

2026年7月11日、12日に開催したモンストのオフラインイベント「DREAMDAZE Ⅳ」では、来場者を撮影した写真から、AIによってモンストの「ボール絵」風のイラストを生成する「AIボール絵メーカー」を提供しました。生成された画像は会場でガチャ風の演出やミニゲームに使用されたほか、アクリルキーホルダーとして来場者へ提供しました。

モンスト独自の画風を再現する生成AI技術

モンスト独自の表現であるボール絵を生成するため、これまでに制作してきたキャラクター画像とボール絵を活用し、画像生成モデルを追加学習することで、モンスト特有の画風を再現する生成パイプラインを構築しました。社内における画像生成AIの活用可能性を探る技術検証の中で培った技術を、来場者向けのリアルタイムな体験へ応用しています。
実写写真を直接ボール絵へ変換するのではなく、まず汎用画像生成AIで本人の顔や髪型、服装、ポーズなどの特徴を維持したままアニメイラストへ変換し、その後、モンストのボール絵を学習したモデルでボール絵化、さらに別の画像生成AIで手指や線画などの局所的な破綻を補正します。汎用モデルと専用モデルの得意な処理を組み合わせることで、本人らしさとモンストのボール絵風な表現の両立を図っています。

AIによる品質検証と自動再生成

生成AIでは、手指や人体構造の崩れ、元の人物とは異なる顔やポーズへの変化などが発生する場合があります。オフラインイベントでは、生成画像をすべて人手で確認することが難しいため、VLM(Vision Language Model)を用いた品質チェックを生成工程の途中に組み込みました。
元写真と生成画像を比較して、人物の特徴や表情、ポーズ、構図が大きく変わっていないかを確認するとともに、完成したボール絵についても手指や人体構造などの破綻を検出します。問題がある場合には該当工程まで戻り、自動で再生成します。
また、生成AIが苦手とする手指の表現については、プロンプトの調整に加え、実際に発生した課題に対応した学習データを追加することで、モデル自体の精度改善も行いました。

オフラインイベントを支える安定運用の仕組み

オフラインイベントでは短時間に多くの来場者へ体験を提供する必要があるため、高い画像生成精度だけでなく、外部AIやGPU※2リソースの一時的な障害にも対応できるシステムを構築しました。画像生成処理を非同期で実行し、エラーや再試行の状況を管理するとともに、GPUを確保できない場合のフォールバックや、処理時間・エラー数などを監視する仕組みを備えています。
イベント2日間では955件の画像生成を行い、99.8%が正常に完了しました。処理時間も約9割のケースで71~73秒以内となり、ミニゲームを体験している間に次の来場者の画像生成が完了する水準を実現しました。

※2 画像を描画する計算を専門に行う半導体チップ(装置)

AIと独自のデータ・技術を組み合わせ、新しい体験へ

「クイズDEストライク」では、長年蓄積してきた多数のキャラクターに関する情報をAIで活用することで、大規模なコンテンツ制作を可能にしました。一方、「AIボール絵メーカー」では、モンスト独自のキャラクター表現を学習したモデルと生成AIを組み合わせることで、来場者自身がモンストの世界に入り込むような体験を実現しました。
MIXIでは今後も、各サービスが持つ独自のデータやクリエイティブとAI技術を組み合わせることで、既存の開発・制作プロセスの高度化にとどまらず、新たなエンターテインメント体験や価値の創出に取り組んでまいります。